名画座-SHIN-名もなく貧しく美しく

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名もなく貧しく美しく

1961年 松山善三監督 高峰秀子・小林桂樹主演

 

50年以上前の作品なんですが、主演の二人が好きなので視聴。聾唖の夫婦役と言うことでなんとも重い内容。さげすまれて虐げられてなお、一人息子を大事に育てていく骨太な作品でした。

しかしまぁ、高峰秀子さんの演技のうまさったら、ほんと凄いですね。この人は何やらせてもその人に見える。若い先生でも農家のおばあさんでも貞淑な妻でも奔放な女性でも、なり切ってしまうと、怒っても笑ってもそう見える。自由自在の演技力です。コメディ作品の出演は残念な結果になる気がするんですが、それは、コメディでは彼女を使いきれないからでしょう。

小林桂樹さんも、じつにいい。どこかコメディっぽい役が多い人ですが気骨ある役もぴったりはまる。全編通じて彼には一言のセリフもありませんが、手話で夫婦の会話をするときの、目や口がうまい。この二人の共演なのでいい作品にならないはずがない。電車のそばで二人が手話をするシーンなど、耳が聞こえないことを生かした名シーンです。テーマは重いけど、実に良い映画でした。