「親」子の愛情劇

SHIN'S BLOG

東京物語  1953年   小津安二郎監督  松竹

言うまでもなく、小津監督最高峰の一つ。2012年:「映画監督が選ぶベストテン」第1位にも選ばれたこともまさに納得の一言。

尾道から、東京にいる長男長女の家に上京してくる老夫婦・笠智衆と東山千恵子。昭和28年の東京は大復興の真っただ中で、そこに暮らす開業医の長男、美容院経営の長女は日々の生業に忙殺され両親のお世話どころではない。3男は大阪で就職していて忙しいし、かといってほっとくわけにもいかず、夫婦だけで伊豆に送り出したり、いまだに一人で暮らす、戦没した次男の嫁に押し付けたり。

その時次男の嫁は、心尽くしのおもてなしで夫婦を迎える。実の子供たちからの扱いと、血のつながらない嫁からの扱いとの差を感じつつも、それでも子供たちに対する親の愛情は強い。

「世間では、子よりも孫の方がかわいいというけど、母さんはどう思う?」

「そうですねぇ、どっちでしょうかねぇ。」

「わしは、それでもやっぱり子の方がええわい」

「そうですねぇ。」

夫婦が二人きりで話すこの会話の、なんと愛情深いことか。

観たことない人は、ぜひ観てください。満足度保証付です!