19歳だった私。理容学校を卒業後、大阪の店に就職しました。
当時は「住み込み」と言って、師匠の家の一間を間借りして住まわしていただきます。衣食住こみでお世話になって、その分を案分されて月給は6万円ナリ。そのうち4万円は強制的に貯金なので、手取り2万と言う生活。
とはいえ、自室から出て「おはようございます」から、「おやすみなさい」ピシャッ、までずっと師匠と一緒、職場はもちろん、通勤の間も師匠のカバンを持って歩くので、勝手に飲みに行くとかゲーセン行くとか、コンビニ行くこともないわけで。帰ったら一緒に家事。一人になることはない状態なのでお金など使うことはありません。先月貰った2万円が、今月の給料日にそのまま残ってた、なんてこともありました。
住み込みに行くことが決まったころ、当時親戚付き合いしていたおばあさんが僕に
「ぼんぼん、他人の米には骨あるんよ」って言ってくれました。
ちゃんと意味の分からなかった僕は(きびしいよ。と言うてもらったんかなぁ)程度に思ってましたが、、、
住み込み初日、仕事から家に帰って一緒に夕食をしたくして、食べ終わってごちそうさまして、食器も片づけずそのまま自室に入った僕。その晩は師匠が片づけてくれたんですけど翌朝、
「圭ちゃん、自分の食器は自分ですんねんで」と。
恥ずかしかったなぁ。お客様気分だったんですからね。衣食住世話になって仕事しこんでもらってお金までもらってて、その上お客様気分。他人の米には骨があるって思い知った、あの朝の会話は今も忘れません。